芥川賞「影裏」

例によって文芸春秋で読んだのだが、この作品だけは
選考委員の選評を読まずに読めばよかったと後悔。
文春芥川賞
タイトルはえいり。禅語の「電光影裏、春風を斬る」からきているが、
ただ単に人生の影と人間の裏という程度の意味かも。

主人公は30歳位の東京から岩手盛岡に赴任した医薬品の営業マン。
作者は釣りが好きらしく、川釣りの描写で物語が進んでゆく。
その会社の釣り仲間で同僚だった友人の失踪を追うミステリーであり
どこか酒の飲み方に拘るハードボイルドでありながらやはり純文学。

というのもロングショットから始まりミドルショットに移りさらにアップを
撮れば見ている人にわかりやすい映画手法だが、
作者は、いきなりアップから始めたり、前触れもなく回想シーン
から始めたりと、構成を自由自在に操りあたかも文章実験してるみたい。

それでも面白いのは、登場人物のキャラが立っているから。
これまた映画的手法というか、短いセリフと行動(アクション)で
端的にその人物像を表現する。
この作品に女性は2人しか登場しないが、
40代後半の旦那と娘が2人いるパート女性は、失踪人について
問合せた際、相手会社上司から「どういった御関係で?」と聞かれ
突如「彼女です!」と答えたりする。
もう一人は「次の人」と名付けられていきなり登場する80歳の
おばあちゃん。同じマンションの回覧板を渡す「次の人」なのだが
彼女のある行動が「東日本大震災」にからんだ話に展開するきっかけ
となっている。つまり物語のシーン転換のためにだけ登場するキャラ。

面白いよねえ。読み終わっても登場人物がくっきり思い出されて
もう一度読みたくなる、不思議な小説。
これきっと映画化されるよ。監督は?この手の話が得意な黒沢清。
主役は?主人公だけキャラがあいまいなのだが。妻夫木総かなあ。
2017-09-11(Mon)
 

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元祖カーキー

Author:元祖カーキー
趣味は昔マラソン→今剣道。
'09 青梅・荒川・手賀沼・河口湖
'10 三浦・霞ヶ浦・高尾山・葛西臨海・小鹿野・陣馬山・河口湖
'11千葉マリン・青梅・三浦・葛西臨海・小鹿野・つくば
'12葛西臨海・成木の森・武甲山・渡良瀬・千葉スィーツ・つくば
'13千葉マリン・青梅・東京・古河・ハセツネ30K・夢の島
'14夢の島・足立フレンドリー
'15千葉マリン・東京・tokyoベイエリア・森林公園
'16品川・青梅・中野区剣道大会春季団体戦・秋季個人戦
'17剣道四段審査合格・全日本高齢者武道大会・中野区春季団体戦・秋季個人戦・東京都シニア剣道大会

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